氷室饅頭
の人気から、学べることを説明します。読者対象は、商品が売れない時期でも効率よく売る方法を知りたい方です。氷室饅頭の人気の秘密だけでなく、開発戦略や販売戦略についても詳しく説明しています。
なぜ氷室饅頭の人気から、学ぶことが重要なのか?
氷室饅頭と言えば石川県の名物で、年に一度、氷室開きの日に合わせて販売される、特別なお饅頭です。実はこのお饅頭は、販売面でも特別な存在です。なぜなら、いろいろな和菓子屋さんがこぞって氷室饅頭を販売するからです。
もちろんそこには、重要なビジネス戦略があるわけですが、和菓子屋さんならではの事情が見え隠れしているんです。氷室饅頭の販売について知ると、ビジネスをどのように展開していくべきか、そのヒントが学べます。
そこで、氷室饅頭はどのようなビジネス戦略の元に販売されているのか、重要なポイントをご紹介しましょう。
氷室饅頭のビジネス戦略、ポイントは5つある!
それでは、氷室饅頭のビジネス戦略について、5つのポイントを説明します。
氷室饅頭とは?
氷室饅頭とは、氷室開き(年に一度の、石川県金沢市の行事です。)の際に無病息災を願って食べる麦まんじゅう(皮が小麦粉で出来ているまんじゅう)のことを言います。つまり、氷室饅頭そのものはごく普通のまんじゅうですが、氷室開きに食べるという点がポイントです。
それで、外見上は皮の色が3種類あり、白・赤(薄いピンク)・緑(読みは「みどり」ではなく「あお」)です。ものによっては、皮に「氷室」の焼き印を入れるなどして、氷室饅頭であることを強調しているものもあります。
また、中のあんこは、基本的には「こしあん」ですが、中には「つぶあん」や「白あん」のものを製造する和菓子店もあるようです。ちなみに、いわゆる酒まんじゅうという、皮から日本酒の風味がするものを作る和菓子店も多くなっているようです。
このように、氷室饅頭とは氷室開きの日に合わせて食べるという縁起物です。おまんじゅうそのものは特別なものではありませんが、『氷室開きの日』に食べることが重要な和菓子なんですね。(ある期間だけ販売される縁起物という点が、人気の秘密だとも言えるでしょう。)
氷室饅頭の、歴史的な背景とは?
氷室饅頭の歴史的背景を知るには、氷室について知る必要があるでしょう。氷室とは、江戸時代から加賀(現在の金沢)に伝わる雪の貯蔵施設のことで、冬に積もった雪を保存しておきます。そして、貯蔵しておいた雪を夏になってから取り出して、涼を楽しもうというものです。
そして、これらは行事として儀式化されており、氷室に雪を貯蔵することを『氷室仕込み』といい、そこから雪を取り出すことを『氷室開き(7月1日)』といっています。では、取り出した雪をどうするのかというと、江戸の将軍様へ献上していたんですね。
もちろん、冷蔵・冷凍の設備などありませんから、当時考えられるだけの断熱を施して加賀から江戸へ運んだようです。すると運搬中にどんどん溶けて、大量の雪はごく小さな氷のかたまりになるんですね。なので、名前が雪室ではなく氷室なんでしょう。
そして、このような大変なことをして雪(氷)を運ぶので、特に氷室開きをお祝いするというところから、氷室饅頭を食べるという習慣が根付いたようです。(お祝い事で食べる、紅白まんじゅうに近いでしょうかね。)
流行に便乗することの重要性とは?
ここから、本題であるビジネス戦略についてお話を進めましょう。
まず、流行に乗る重要性についてお話しします。なぜなら、流行に乗ると非常に商品が売りやすいからです。実際に氷室饅頭は、7月1日の氷室開きという流行に乗る商品であると言えます。氷室饅頭は、年に1回、2週間ほどの販売期間しかありません。
これは、先ほど説明した通り、年1回の氷室開きに合わせているからです。ようするに、クリスマスケーキのような、季節ものです。金沢市を中心とした地域限定の商品とは言え、多くの方がこの時期に向かって一斉に消費行動に移る、まさに書き入れ時であると言えるでしょう。
したがって、この時期に大量に氷室饅頭を売ることで、短期間のうちに一気に稼ぐわけです。特に和菓子業界では、非常に重要な時期です。なぜなら、和菓子は夏の売り上げが激減するからです。どうしても和菓子は温かいお茶と食べるので、夏は売れないのです。
夏の和菓子と言えば、水ようかんやあんみつなど、ごく限られたものになってしまいます。このように、年間通して売れない商品の場合は、流行に乗るという戦略が重要だと言えるでしょう。
差別化のための開発競争もある。
氷室饅頭は、各店舗間で差別化のための開発競争が無いわけではありません。先ほど少し説明しましたが、本来は「こしあん」だけだったものを「つぶあん」や「白あん」も用意することで、ニーズに合わせて他店にないものを開発して差別化を図っています。
これは、こしあんは嫌いだけどまんじゅうは食べたいという方の、ニーズに応えているわけですね。また、皮については酒まんじゅうにすることで風味を豊かにしている店舗が多いですが、これに有名な地酒を使うなどして差別化する例も増えています。
さらに、見た目については「白・赤・緑」と色が決まっているので、表面に「氷室」の焼き印を入れることで特別感を出して差別化している例もあります。何となく、氷室の文字がある方を買ってしまうという心理的な部分をついているようですね。
このように差別化している背景は、氷室饅頭の販売に参入してくる和菓子店が増えてきたからに、ほかなりません。本来は関係ないはずの、金沢市以外の地域でも販売されていますからね。ライバルが増えたために、流行に乗るだけでは商売にならなくなってきたと考えられます。
差別化というビジネス戦略は、ライバルが増えてきた場合に重要ですので、覚えておく必要があるでしょう。
戦略の本質は、タイミングを大事にすること。
ここまで読まれて、すでにお気づきの方もいらっしゃると思いますが、ここで説明しているビジネス戦略の本質は、タイミングを合わせるということです。これは、ビジネスを行う上で非常に重要な戦略だと言えます。なぜなら、タイミングで売り上げが大きく左右されるからです。
世の中のほとんどの商品やサービスには、売れる時期と売れない時期という波があります。和菓子であれば、夏はどうしても売れる商品が限定されます。したがって、1年間通して平均的に売ることを考えるのではなく、売れるときに売り抜くという考え方が重要です。
このような考え方をすると、売り上げが不安定に感じてしまうので、どうしても腰が引けてしまうかもしれません。しかし、売れないときはどうやっても売れないのは間違いありませんので、売れるときに全力を注ぐ方が、はるかに効率が良いのです。
なお、差別化についても触れていますが、これはタイミングを合わせている販売店が多いからです。タイミングを合わせている店が少ないうちは、差別化の必要はほとんどないでしょう。なぜなら、差別化はライバルが存在する時だけに必要な戦略だからです。
だからこそ、商売では売れるタイミングを正確に把握し、そこに合わせるようにすべきです。『売れるタイミング』に、合わせるというビジネス戦略をぜひ検討してください。
まとめ:タイミングの重要性を理解してください。
いかがでしたか? 氷室饅頭の人気から、学べることを説明しました。
今回説明したのは、氷室饅頭とは?、氷室饅頭の歴史的な背景とは?、流行に便乗することの重要性とは?、差別化のための開発競争もある、戦略の本質はタイミングを大事にすること、などの5つのポイントでした。
ビジネス戦略において、最も重要なのがタイミングであることを学んでいただきたくて、氷室饅頭を題材にしたページを作りました。実は、ホームページも全く同様で、タイミングを合わせることで反応率を上げることができます。ホームページにもビジネス戦略が必要なんですね。
繰り返しになりますが、タイミングをつかんでその波に乗ることが、ビジネスを行う上でいかに重要であるかを、少しでもご理解いただければ何よりです。
以上、「氷室饅頭の人気から、学べることとは?」と題して説明しました。