トヨタのCM、千里浜で撮影した5つの理由とは?

トヨタCM、千里浜で撮影した意味とは?

トヨタのCM千里浜で撮影した5つの理由について説明します。読者対象は、砂浜を走る86の映像に興味を持たれた方です。なぜ千里浜をコマーシャルの舞台にしたのか、その意味と販売促進の効果について詳しく検証しています。

トヨタがCMを千里浜で撮影する意味とは?

トヨタ86が千里浜の砂浜でダイナミックな走りをするCMは、なかなかインパクトがあって楽しいですよね。ああいうテレビコマーシャルは、トヨタにしては珍しいと思います。きっとあなたも、「なんでわざわざ千里浜で撮影したんだろうか?」と思われたんじゃないでしょうか。

つまり、「あのCMにはメッセージが込められているはずだ!」と感じているはずです。そこで、どんなメッセージが込められているのか、CMから何が学べるのか謎解きをしていきましょう。

※ CMをご覧になりたい方は動画サイトで探してみてくださいね。

トヨタのCM、千里浜を選んだ5つのポイント。

トヨタのCMに採用されたのは86と千里浜です。なぜこの2つを組み合わせるのかを探ると、5つのポイントに分けることができますので、それぞれ詳しく解説していきます。

1.トヨタが選んだ車は86。

まず、トヨタの86という車についてですが、これは2ドアクーペのスポーツカーです。基本部分はスバルが開発してそれをスバルとトヨタで販売していますが、今どきはミニバンが主流なので、この手の車を販売する勇気はすごいと思いますね。そして案外と売れています。

この車をCMに選んだ理由はズバリ少数派だからではないでしょうか。少数派ということは、確実に目立つし、しかもカッコいいので、あこがれの対象にもなります。自分では買えない車(多人数が乗れないという理由で)だからその気持ちはより一層強くなりますしね。

また、技術的な面でもマニュアル車である点やFRである点も大きなポイントだと思います。ちょっと運転が難しそうなので、走っているのを見るとそれだけでもカッコいいのではないでしょうか。商用車であればいまだにマニュアルは多いですが、FRは本当に減りました。

FRはフロントにエンジンを置き後輪を駆動するのでどうしても部品が多くなる分、高価になりがちだし、エンジンが縦置きになるので、エンジンルームが大きくなって室内が狭くなります。走らせるととても気持ちがいいんですが、車内が狭いと現代のニーズには合わないですね。

つまり、ある種の象徴として86を選んだのではないでしょうか。

2.千里浜の特性。

続いて千里浜ですが、ご存じのとおり石川県の車が走れる海岸です。特に走行可能な砂浜部分は、千里浜なぎさドライブウェイとして、道路の扱いになっています。速度標識もあれば、海水浴シーズンにはバス停も設置されていましたからね。

また、なんといっても千里浜は日本で唯一、世界でも3か所しかない自動車が走行可能な砂浜です。波打ち際を車が走っているだけで絵になりますから、それだけでもCMに使う価値があります。したがって、車の走行シーンを撮るにはうってつけの場所というわけなんです。

実際に、イギリスの「トップギア」という自動車番組で日産のGT-Rを千里浜から千葉まで走らせるというロングドライブ企画をやっていました。ほかにも雑誌の試乗記でたびたび千里浜が選ばれますから、もはや車関係ではメジャーな場所ともいえるでしょう。

そういった意味で、千里浜が選ばれるのは割と自然なことだとも考えられますね。

3.86と千里浜の組み合わせ

さて、86と千里浜のことが分かったところで、なぜこの2者を組み合わせるのでしょうか? それは両方の特性を組み合わせることで、実現しやすいことがあるからです。すでにお気づきの方もいらっしゃるでしょうが、ドリフト走行がとてもしやすい点です。

ドリフトと言えば、後輪を滑らせながらコーナリングを行う、あのダイナミックな運転技術です。これを実現するには、ザックリと2つの条件が必要です。それは、後輪駆動であることと、路面が滑りやすいことです。86は後輪駆動で、千里浜は砂ですから条件が完璧にそろっています。

ドリフトだけなら、86にドリフト用のタイヤを履かせることで実現できます。しかし、千里浜ならドリフトしたりスピンターンしたりすると砂を巻き上げるので、よりダイナミックさを演出できるんですね。おそらく、86と千里浜の組み合わせは、これが狙いだったのではないでしょうか。

4.分かりやすい演出。

ここで、演出について考えてみます。ここでいう演出とは、先ほど説明した砂を巻き上げながらのドリフトです。なぜこのような演出なのかと言えば、車の特徴が非常に分かりやすいからです。86の大きな特徴であるFR駆動方式は、見た目には全く分かりません。

車のマニアからすれば、明らかにFR車の方が運転が気持ちいいんですが、それを伝えるのは簡単なことではありません。当人が運転して感じるしかないんです。しかし、砂を巻き上げるような豪快でダイナミックな映像を作ることで、FRの楽しさが視覚で感じられるんです。

本来運転しないと感じられないことが、目で見て分かるのだから、非常にうまいやり方でしょう。なかなかいいところに目を付けましたよね。

5.メッセージを伝えやすい。

86を千里浜で走らせることには別のねらいもあります。CG合成ではなく、本当に千里浜でドリフトしているので、非常にリアルです。そして、市販車を実際に存在する場所で走らせているので、興味を持った方が86で千里浜に行って、ドリフトすることもできます。

これによって、明らかに車に対する認識が変わるでしょう。単なる移動手段から趣味として楽しむものに変化させることができるんです。これは、トヨタが単なる実用車のメーカーから、趣味性の高い車を扱うメーカーに変化しようとしていることを表しています。

トヨタがCMを通じて一番言いたかったことが、「今後は楽しい車を作りますよ」というメッセージだったのではないでしょうか。つまり、トヨタとしては86が楽しい車の象徴と言うわけなんですね。

参考:千里浜走行後のお手入れ。

実際に、千里浜なぎさドライブウェイを走行する方もいらっしゃると思います。砂浜を走るのはとても楽しいですからね。ところで、走行後にお手入れが必要なのをご存知ですか? 千里浜は当然のことながら海水なので、走行後はできる限り早めの洗車をおすすめします。

なぜなら、さびる可能性があるからですが、その洗車は車体底部まで行ってくださいね。千里浜周辺のガソリンスタンドであれば、できるところがあると思いますよ。なお、波が高いときは自動車の通行が禁止される場合があるので、こちらも事前に確認しておきましょう。

まとめ:CMから学べること。

いかがでしたか?

86が千里浜を走るというCMは、トヨタが実用から趣味への転換を表明していると解釈して間違いないわけですが、Web集客という観点でも学べるところがあります。それは、商品とメディアの相性です。メディアにはそれぞれ適性があるので、商品の種類で使い分ける必要があるんです。

今回取り上げたのは、車がドリフトするという迫力あるCMですが、これは文章では伝わらないし、画像でも迫力が半減してしまうでしょう。これをネットで公開するとしたら、間違いなく動画をホームページに埋め込むことになります。これなら迫力が確実に伝わりますからね。

ただし、「だからこれからは動画で集客の時代ですよ」という意味ではないので勘違いしないでください。繰り返しますが、商品とメディアの間には相性があります。車であれば動きや音が重要なので動画ですが、例えば本の紹介を動画で行ってもあまり関係ないですよね。

なので、「SNSと動画を使って何かをアピールしよう。」というところから入るのではなく、「この商品は動きがないから、文章と画像の方が伝わりやすそうだ。」というように、商品の特徴でメディアを選ぶべきなんです。メディアが先行する方が多いので、気づいていただければ幸いです。

以上、「トヨタのCM、千里浜で撮影した5つの理由とは?」と題して説明しました。