車を売らないディーラー、これが将来の主流になる?

車を売らないディーラー、将来はこれが主流になる?

車を売らないディーラーについて説明します。読者対象は、自動車ディーラーの未来や商取引の今後に興味のある方です。商品を売らない店舗がなぜ成り立つのか、ディーラーを通して将来の商取引についてひも解いています。

車を売らないディーラーについて知る意味とは?

あなたがこのページをご覧になっているのは、「自動車ディーラーが車を売らないってどういうことだろう?」という疑問が湧いたからだと思います。確かに「じゃあ何を売るんだ?」という話しになりますからね。ところで、この話は車に限ったことではないかもしれません。

これから詳しい説明をしていきますが、自動車ディーラーの話を通じて、これからの販売店(すべての業種という意味で)のあり方について考えてほしいんです。特に、経営をされている方は、今後の経営方針について真剣に考えるきっかけにしていただければと思います。

車を売らないディーラーから学べること。

それでは、車を売らないディーラーから学べることを、5つのポイントに分けて説明していきます。

車を売らないディーラーとは?

新聞に「車を売らない販売店」という記事がありました。最初、全く意味が分かりませんでしたが、記事を詳しく読むと分かりました。なお、記事では販売店としていましたが、車と言えばディーラーという言葉の方がなじみがあるので、こちらに統一してお話ししますね。

そもそも車を売らないディーラーとは何かというと、展示車を置かずセールスも行わない営業方針を指すようです。つまり、車の予約注文は受け付けているけれど、車は置いていないという状況です。セールスマンが営業トークをすることもないそうですから、まったく新しいやり方ですね。

なので、「車を売らない」というよりも「売る気を見せない」と言った感じでしょうか。なお、広島のトヨタ系ディーラーが始めたことのようですが、責任者曰く「これも時代の流れ」なんだそうですから、時代も変わりましたね。

一般的なディーラーはどんなことをしている?

ところで、一般的なディーラーはどんな商売をしているんでしょうか? 通常の自動車ディーラーは各メーカーごとに分かれていて、現在販売中の全車種もしくは主要な車種を展示したり、試乗車を用意したりしています。そして、セールスマンがいて、車について詳しく説明してくれます。

つまり、商品が大きいだけで他の業種の店舗と何ら変わりません。例えば、洋服屋さんで洋服がディスプレイされていて、店員さんが相談に乗ってくれるみたいなことです。ただし、自動車の場合は点検や整備が必要なので、必ずサービス工場が隣接しているところは違うかもしれませんね。

なぜ、車を売らないディーラーが誕生したのか?

さて、なぜこのように車を売らないディーラーが誕生したのでしょうか? それには時代の流れが大きく関係しているようです。

車に対する価値観の変化

これまでは、車を持つことそのものがステータスシンボルでした。つまり、必要か不要かという価値観ではなく、富の象徴として車を持てるだけの財力を示していたんですね。しかし、現代は必ずしもそうではなくなりました。時代とともに価値観が変化したからです。

価値観が多様化したとも考えられますが、どちらかというとスマートフォンなどの情報に価値を見出すようになりました。車に対して特別な感情を持つことが無く、他の製品と何ら変わらない価値なのかもしれません。だから現物を見たり触れたりしなくても、不安が無いんでしょうね。

情報の入手方法の変化

インターネットの普及で事前に情報を収集できるようになりました。メーカーや販売店のホームページを見るだけでなく、動画サイトで確認することもできれば、口コミサイトで評判を調べることもできます。わざわざディーラーに足を運ばなくても車の情報を入手できるわけですね。

試乗記も文章だけでなく動画で見れるんだから、自らが試乗する必要性すら感じないのかもしれません。つまり、自分で実車を見て感じなくても購入を決定できるという状況です。購入の判断を他人にゆだねている感じがするのでちょっと怖い気もしますが、今の時代それでいいんでしょう。

コミュニケーションの変化

コミュニケーション方法が変化してきていることも影響が大きいようです。それは、ネット環境の普及により、直接対面しての会話を得意としなかったり敬遠する人が増えていることが関係しているようです。ディーラーでセールスマンと会話するのが、ハッキリ言えば嫌ということです。

コミュニケーションを取りながら、裏情報を聞き出したり好条件を引き出すといったことは不要であると言えます。情報はすべてネットで収集できるから、場合によってはセールスマンより詳しいこともあるでしょう。だから、ディーラーには契約書を受け付ける係員が居るだけでいいんですよ。

お客さんはどうやって車を買うのか?

車を置かず、詳しいセールスマンもいないディーラーで、お客さんはどのように車を買うのか? これはすでに形が出来上がっています。先ほども説明しましたが、ネットで情報を集めて購入する車を決め、あとはディーラーで書類を書いて契約するという流れです。

ディーラーは、車の情報を入手する場所ではなく、単なる契約窓口という存在でしかないんです。これは事実上の通信販売ではないでしょうか。車の場合は、法律の関係からどうしても書類を書く必要がありますので、完全にネットのみとはいきませんが、形としてはネット通販に近いですよね。

つまり、本当はすべてネットで済ませたいけれど、書類を書かなくてはいけないから仕方なくディーラーへ行って契約をするという感覚なんでしょうね。

将来的にディーラーはどう変化するのか?

将来的にディーラーはどのような変化をするのでしょうか? おそらく、これまで通りのやり方を貫くディーラーと、通販型ディーラーの2極化になるでしょう。もちろん、点検や整備のために、どちらも共通してサービス工場を隣接させるとは思いますが。

これまで通りのディーラー

おそらく、これまで通りのディーラーはずっと存在するでしょう。どれだけネットが普及して事前に情報を取得できても、所詮はバーチャルであり実体験ではありません。実車が展示してあってセールスマンが詳しく説明してくれるという形は変わることが無いでしょう。

少なくとも、生まれたときからネットが存在している世代が中心になるまでは継続すると思います。世代が完全に入れ替わった時、ひょっとしたらなくなるのかもしれませんがね。

通販型ディーラー

これまで説明してきた、車を売らないディーラーのことです。ホームページを充実させて試乗まで疑似体験できるようにして、契約行為のみを店舗で行うというやり方です。台数限定車であれば、ネットで予約を受けてディーラーで正式契約といった形は、すでに実現していますね。

このような形にすれば、ディーラーは大幅に店舗を縮小できます。必要なのは駐車場とサービス工場だけです。試乗車すら置かないから在庫を抱えることもないし、セールスマンもいらないから経営もかなり楽でしょう。メールでやり取りすれば個別訪問も不要ですしね。

今後ますますネット社会が拡大浸透していくようであれば、これまで通りのディーラーは大幅に縮小するかもしれませんね。ただ、いずれにしても言えるのは、ホームページを中心としたネット環境の充実が必要であることです。店舗に足を運ぶ人でもネットで情報収集しているわけですから。

まとめ:これからの商売はこうなる!

いかがでしたか?

車を売らないディーラーということで、自動車販売を取り巻く情勢の変化をお話ししてきましたが、このやり方が今後伸びる可能性は高いでしょう。現代社会のネットの浸透度は高く、すでに情報収集のメインはネットに移行しています。店舗で情報収集することは本当に少なくなりました。

そして、忘れてならないのが、車を売らないディーラーを利用するお客さんは、購入決定までもネットで行っている点です。ということは、ホームページがセールスマンの役割も果たさなくていけないということなんです。だからこそ、セールスマンがディーラーに存在しません。

つまり、カタログ代わりのホームページでは売り上げに貢献しない時代になったんです。セールスマンが中心の時代は会話によって直接お客さんに売り込むことができました。しかし、そのセールスマンがいないのだから、代わりはホームページが担当しなくてはいけないんです。

カタログに載っていることをなぞるだけのホームページはもはや機能しません。売り上げを伸ばすためには、積極的に売り込むようなホームページが必要です。ネット通販が主流になりつつある現在では、すべての業種の販売店に当てはまることでしょう。どうかそこに気づいてほしいと思います。

以上、「車を売らないディーラー、これが将来の主流になる?」と題して説明しました。